妊娠中は、体がこれまで以上にデリケートになります。ちょっとした飲み物の選び方ひとつでも、体調やお腹の赤ちゃんへの影響を気にする方が多いのではないでしょうか。特に「お茶」は毎日口にするものだからこそ、「妊婦でも飲んでいいの?」「どんなお茶なら安心?」と悩む方が増えています。
鍼灸師や整体師の視点から見ると、お茶は“体の巡り”を整えるサポートにもなります。ただし、種類や飲み方を間違えると逆効果になることも。本記事では、東洋医学の考えを交えながら、妊娠中におすすめのお茶・避けたいお茶・体質に合った選び方をわかりやすく解説します。
- 妊娠中に安心して飲めるお茶の種類と選び方がわかる
- 鍼灸師の視点から見た「体を冷やす・温めるお茶」の違いが理解できる
- 体質別(冷え・むくみ・胃弱)におすすめのお茶が学べる
- 妊婦さんが控えた方がよいお茶や飲み方の注意点がわかる
- お茶を“養生”として取り入れる具体的なコツが身につく
目次
妊婦さんが「お茶選び」で迷う理由
妊娠中になると、体質や体調の変化を実感する方が多いでしょう。特に「お茶」は毎日のように口にするものなので、カフェインの有無や体への影響を気にする妊婦さんが増えています。妊娠前までは気にせず飲んでいた緑茶や紅茶も、いざ妊娠すると「これって飲んでいいのかな?」と不安になる瞬間があります。
鍼灸師の視点から見ると、妊婦さんのお茶選びで迷いが生まれるのは、単にカフェインだけの問題ではありません。東洋医学では、お茶の種類によって「体を冷やす」または「温める」といった性質があると考えられています。つまり、同じ“お茶”でも体への働き方がまったく違うのです。
例えば、緑茶やジャスミンティーは体を冷やす傾向があり、冷え体質の妊婦さんにはあまり向きません。一方で、麦茶や黒豆茶などは穏やかで、胃腸への負担も少なく、日常的に取り入れやすい飲み物です。「お茶の性質」を知ることは、妊婦さん自身の体を守る第一歩ともいえます。
さらに、妊娠中は血液量やホルモンバランスの変化により、体が敏感に反応します。そのため、以前は平気だったお茶でも「飲むとむくむ」「胃が重い」などの違和感を感じることがあります。そんなときは、体が発しているサインを見逃さず、無理せず休むことも大切です。お茶選びの迷いは、“体の声を聞くチャンス”でもあるのです。
鍼灸師が見る!妊娠期のカラダの変化とお茶の関係
妊娠中の女性の体は、日々めまぐるしく変化します。お腹の赤ちゃんを育てるために血液量が増え、ホルモンバランスも大きく変わることで、体が「いつもと違う状態」に適応しようとしています。その結果、むくみ・冷え・のぼせ・情緒のゆらぎなど、さまざまな体調変化を感じる方が多いのです。
東洋医学では、妊娠中は「気・血・水(き・けつ・すい)」の巡りが乱れやすい時期と考えます。気はエネルギー、血は栄養、水は体液を意味し、この3つのバランスが崩れることで不調が起こります。お茶はこの“巡り”を助ける身近なアイテムのひとつです。たとえば、体を温めるお茶は「気」を動かし、むくみを和らげるお茶は「水」の停滞を整える働きをします。
鍼灸師の立場から見ると、お茶は単なる水分補給ではなく、「体の巡りをサポートする養生の一部」と考えます。特に妊娠中は、冷えを防ぎ、心身をリラックスさせることが何より大切です。温かいお茶を飲むことで胃腸の働きが整い、血流が改善されるケースも少なくありません。
ただし、体調や季節によって最適なお茶は変わります。例えば、初夏は麦茶などのすっきりタイプ、冬は黒豆茶や生姜入りのお茶がおすすめです。「その日の体調に合わせてお茶を選ぶ」ことが、東洋医学的なセルフケアの基本なのです。
妊婦さんにおすすめのお茶【体を整える系】
妊娠中は、心も体もいつも以上にデリケートな状態。そんな時期だからこそ、体をやさしく整えてくれる「お茶の力」を上手に取り入れたいものです。鍼灸師としておすすめするのは、“巡りを整え、体を温めるお茶”です。ここでは、妊婦さんが安心して飲める代表的な3種類を紹介します。
ルイボスティー|血流を整え、リラックスを促す
南アフリカ原産のルイボスティーは、ノンカフェインでありながら抗酸化作用が高く、妊娠中の体にやさしいお茶です。体の巡りを整えることで、むくみや冷えの軽減が期待できます。また、鉄分の吸収をサポートするとも言われており、貧血気味の妊婦さんにもおすすめです。
ごぼう茶|体を温め、むくみをケア
ごぼう茶は、鍼灸師の視点から見ると“温の性質”を持つお茶です。体を芯から温めるため、冷え体質の妊婦さんには特に向いています。さらに、腸を整えて老廃物の排出を助ける働きもあり、むくみや便秘のケアにも効果的です。体を内側からスッキリさせたい方にぴったりのお茶といえるでしょう。
麦茶|やさしく水分補給できる定番茶
麦茶は、体を冷やすイメージがありますが、実際には刺激が少なく、胃腸に負担をかけにくい「中庸(ちゅうよう)」なお茶です。妊娠中の喉の渇きや、軽いむくみ対策に最適です。温めて飲むことで、「穏やかに巡りを整えるお茶」として毎日の養生に取り入れやすいでしょう。
どのお茶も飲みすぎず、1日2〜3杯を目安に。お茶を飲む時間を「自分の体を労わるリラックスタイム」として大切にすると、その一杯が心と体のケアにつながります。
注意が必要なお茶【控えたほうがいいタイプ】
「お茶なら自然で体に良さそう」と思われがちですが、妊娠中は注意が必要な種類もあります。とくにカフェインや子宮を刺激する作用を持つお茶は、少量でも体に影響する可能性があるため慎重に選びましょう。
緑茶・紅茶・ウーロン茶などカフェインを含むお茶
これらにはカフェインが含まれています。カフェインは胎盤を通して赤ちゃんに届くため、摂りすぎると胎児の発育や睡眠リズムに影響する可能性があります。また、カフェインには利尿作用があるため、体内の水分バランスを崩し、むくみやすくなることも。完全に避ける必要はありませんが、1日1杯程度を目安に、温度をぬるめにしてゆっくり飲むのがおすすめです。
一部のハーブティー(セージ・シナモン・ローズマリーなど)
ハーブティーは自然由来で安心と思われがちですが、中には子宮収縮を促す作用を持つものもあります。特にセージ・シナモン・ローズマリー・ペパーミントなどは妊娠初期に避けた方が安心です。妊娠後期に飲む場合も、必ず少量から試すようにしましょう。
冷たいお茶や濃いお茶も注意
冷たいお茶を一気に飲むと胃腸を冷やし、血流を悪くしてしまうことがあります。また、濃いお茶はタンニンが多く、鉄分の吸収を妨げる場合も。妊婦さんは常に「常温~温かいお茶を、やさしくゆっくり飲む」ことを意識しましょう。
安全にお茶を楽しむためには、「成分」「温度」「量」の3つを意識することが大切です。自分に合うペースで飲むことが、赤ちゃんにもママにも安心な時間をつくります。
東洋医学的「体質別」おすすめティーセレクト
妊娠中の体調は人それぞれ。ある人は冷えやすく、ある人はむくみやすい――同じ妊婦さんでも体の反応は大きく異なります。東洋医学では、この違いを「体質」として捉え、それに合わせたお茶を選ぶことで、心身のバランスを整えることができます。鍼灸師の視点から、代表的な3つの体質別におすすめのお茶を紹介します。
冷え体質の方|黒豆茶・生姜ブレンド茶
手足が冷えやすい、下腹部が冷たいと感じる方には、体を温める性質を持つお茶が最適です。黒豆茶は香ばしく、血流を促す働きがあり、冷えによるだるさを和らげます。また、生姜をブレンドしたお茶は、体を芯から温め、胃腸の働きを整えてくれます。「冷えを防ぐこと=お腹を守ること」という意識を持つことが大切です。
むくみ体質の方|はと麦茶・とうもろこしのひげ茶
足が重だるい、指輪がきつく感じる――そんな方は「水の巡り」が滞っているサインかもしれません。はと麦茶やとうもろこしのひげ茶には、体の余分な水分を流す作用があります。これらは利尿を促すだけでなく、体の内側からスッキリと整えてくれる働きも。むくみやすい妊婦さんの“デトックスティー”として取り入れましょう。
胃が弱い体質の方|三年番茶
妊娠中はつわりや食欲不振で胃が弱りがち。そんな時は刺激が少なく、穏やかに体を温める三年番茶がおすすめです。カフェインがほとんどなく、ミネラルも豊富なので、日常的に飲む養生茶として最適。「胃を整えることは、母体と赤ちゃんの栄養バランスを守ること」につながります。
お茶を選ぶときは、まず自分の体の声に耳を傾けてみてください。冷え・むくみ・胃の疲れ――どのサインも、体が「整えてほしい」と伝えている合図です。その日の気分や体調に合わせて、優しく寄り添う一杯を選びましょう。
お茶を“養生”に変える飲み方のコツ
同じお茶でも、「どう飲むか」で体への働きがまったく変わります。鍼灸師の考え方では、飲み方次第でお茶は“薬”にも“冷えのもと”にもなるのです。ここでは、妊婦さんが安心してお茶を楽しみながら、体を整えるためのコツを紹介します。
1. 温かいお茶をゆっくり飲む
お茶は冷やして飲むより、温かくして飲むのが基本です。温かいお茶は胃腸を刺激せず、体の巡りを穏やかに整えてくれます。「冷やさないこと」は妊娠期のセルフケアの第一歩です。ゆっくりと香りを味わいながら飲むことで、リラックス効果も高まります。
2. 飲むタイミングを意識する
朝は体を目覚めさせるように温かいお茶を、昼はめぐりを整える軽めのものを、夜は心を落ち着かせるお茶を選ぶなど、時間帯に合わせるとより効果的です。特に寝る前の1杯は、体を温めて深い眠りをサポートしてくれます。お茶を“習慣”ではなく“整える時間”に変えることが大切です。
3. 一度にたくさん飲まず、少しずつこまめに
一気に大量に飲むと、胃に負担がかかることがあります。妊娠中は1回100ml〜150ml程度を目安に、こまめに飲むのがおすすめです。喉の乾きを感じる前に少しずつ飲むことで、体の水分バランスを保ちやすくなります。
お茶は「体に優しい習慣」として取り入れることで、その効果を最大限に発揮します。自分の体と対話するように、お茶の時間を穏やかに過ごしてみてください。
まとめ|お茶は“日々のセルフケア”の一部に
妊娠中は、体も心もこれまでとは違うリズムで動き始めます。その変化を支えるために、お茶はとても頼もしい味方です。お茶を選ぶときは「カフェインが入っていないか」だけでなく、体を冷やさない・巡りを整える・リラックスできるといったポイントを意識してみましょう。
ルイボスティーや黒豆茶、ごぼう茶などの“温性のお茶”は、妊婦さんの体を穏やかにサポートしてくれます。また、体質や季節に合わせて選ぶことで、日々の不調予防にもつながります。大切なのは、無理をせず、今の自分に心地よいお茶を選ぶことです。
そして、お茶の時間は単なる水分補給ではなく、「自分を労わる時間」でもあります。香りを感じながら深呼吸するだけでも、心が穏やかになりますよ。お腹の赤ちゃんと一緒に、温かい一杯で“ゆるやかな巡り”を感じてみてください。
お茶は、特別なものではなく、日々の中にある小さな癒しです。その一杯が、妊婦さんの笑顔と健やかな時間を支えてくれるでしょう。
ハリ灸整体Origineオリジネ
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- 妊娠中のお茶選びは、カフェインだけでなく「体を冷やす/温める」という性質も考慮する。
- おすすめは、ルイボス・黒豆茶・ごぼう茶・麦茶などのやさしいお茶。量は1日2〜3杯を目安に。
- 緑茶・紅茶・ウーロン茶などのカフェイン、セージ等一部ハーブは時期や量に注意。
- 冷え・むくみ・胃の弱りなど、体質やその日の調子に合わせて選ぶと負担が少ない。
- 飲み方は「温かい」「少量をゆっくり」「時間帯に合わせて」を基本に、リラックスと巡りを促す。
毎日の一杯を温かい一杯で巡りを整える時間にしつつ、体のサインに耳を傾けて体質に合わせて選ぶことが、妊娠期のセルフケアの近道です。迷ったときは主治医や助産師にも相談しましょう。






