「昼間なのに眠くて仕事に集中できない」「夜は寝付きが悪いのに、日中はぼんやり…」。そんな悩みを抱えていませんか?実はその“眠気”の裏に、自律神経の乱れが関係していることがあります。鍼灸や整体の現場でも、こうした症状を訴える方は少なくありません。
この記事では、鍼灸師・整体師の視点から、自律神経失調症による眠気の原因をわかりやすく解説します。さらに、東洋医学的なアプローチや、自宅でできるセルフケア・ツボ押し方法も紹介。自然なバランスを取り戻して、スッキリとした毎日を過ごすためのヒントをお伝えします。
- 自律神経失調症による「日中の強い眠気」が起こる仕組みと原因が理解できる
- 鍼灸師・整体師が行う、自律神経バランスを整える具体的な施術アプローチがわかる
- 自宅でできるセルフケアやツボ押し、呼吸法などの実践方法を学べる
- 眠気を軽減するための生活習慣の見直しポイントとリラックス法がわかる
- 「眠気は体からのサイン」であることを理解し、無理せず整える重要性が身につく
目次
なぜ「自律神経失調症」で眠くなるの?
「昼間に強い眠気を感じる」「寝ても寝てもスッキリしない」――そんな状態が続くとき、多くの方は「寝不足かな?」と思いがちですが、実は自律神経のバランスの乱れが原因で眠気が起こるケースがあります。
自律神経とは、体のリズムを司る神経で、「交感神経」と「副交感神経」という2つの働きによって体をコントロールしています。日中は活動的に働く交感神経が優位になり、夜はリラックスを促す副交感神経が優位になる――この切り替えがうまくできていると、朝スッキリ目覚め、昼間に集中し、夜ぐっすり眠れるのです。
しかし、ストレスや不規則な生活、長時間のスマホ・パソコン作業などでこのリズムが崩れると、本来昼間に活発であるはずの交感神経がうまく働かず、体が“休息モード”のままになってしまいます。その結果、「体が起ききらない」「頭がボーッとする」といった症状が現れ、強い眠気を感じるのです。
交感神経・副交感神経のバランスがカギ
鍼灸や整体の現場でも、「夜は寝付きが悪く、昼は眠い」という方は非常に多いです。これは、交感神経が夜に過剰に働き、リラックスできない状態が続いているためです。そのため、治療ではまず「リラックスできる状態を作る」ことを重視します。深い呼吸を促したり、体の緊張をゆるめることで、自律神経の切り替えが自然にできるよう導いていきます。
ストレス・姿勢・呼吸の乱れが眠気を生む
自律神経失調症の方は、ストレスだけでなく、姿勢の悪さや浅い呼吸も大きく関係します。背中が丸まり、胸が閉じた状態になると、呼吸が浅くなり、酸素が十分に体内に取り込まれません。すると脳が「休息モード」と勘違いし、眠気を引き起こしてしまうのです。整体ではこのような呼吸や姿勢のクセを整えることで、自然な覚醒リズムを取り戻すサポートを行います。
つまり、自律神経による眠気は「体が休みたがっているサイン」ともいえます。無理に気合で乗り切るよりも、体の声に耳を傾け、リズムを整えるケアを取り入れることが改善への第一歩です。
鍼灸師が見る「眠気タイプ」3パターン
自律神経の乱れによる眠気といっても、すべての人が同じ状態になるわけではありません。鍼灸や整体の臨床では、患者さんの体質や生活習慣によって、眠気の出方がまったく異なることがよくあります。ここでは、鍼灸師の視点から見た「眠気の3つのタイプ」を紹介します。自分がどのタイプに当てはまるかを知ることで、より的確なケアを行うことができます。
① 頭が重だるいタイプ(気の滞りタイプ)
「朝から頭が重い」「常にまぶたが落ちそう」と感じる方は、気の巡りが滞っているタイプです。ストレスや考えすぎによって“気”の流れが上半身にこもり、頭がうまくリフレッシュできていない状態です。鍼灸では、頭頂部の百会(ひゃくえ)やこめかみ付近のツボを刺激して、気の流れをスムーズに整えます。整体では首・肩の緊張を緩め、頭部の血流を促すことでスッキリ感を取り戻します。
② 気力が湧かない・冷えを伴うタイプ(エネルギー不足タイプ)
体がだるく、いくら寝ても疲れが取れないタイプです。東洋医学では「気」と「血」が不足している状態で、胃腸の働きが弱っていることが多いです。手足が冷たく、朝起きるのがつらいのも特徴です。鍼灸では足三里(あしさんり)や「脾兪(ひゆ)」を刺激して、消化吸収を高め、体全体のエネルギーを底上げします。整体では腹部の緊張をゆるめ、内臓の動きを整える施術を行います。
③ 緊張が抜けず常に疲れているタイプ(交感神経過剰タイプ)
寝ても疲れが取れず、常に体がこわばっているタイプです。仕事のプレッシャーやストレスで交感神経が過剰に働き、体がリラックスできない状態です。このタイプは、夜も浅い眠りになりがちで、昼間に強い眠気を感じやすい傾向があります。鍼灸では「内関(ないかん)」や「神門(しんもん)」など、リラックスを促すツボを使って心身の緊張をゆるめます。
タイプは人それぞれですが、いずれの場合も「体がバランスを取り戻そうとしているサイン」と捉えることが大切です。症状を無理に抑え込まず、体質に合ったケアを行うことで、少しずつ自然なリズムが戻っていきます。
東洋医学で考える“眠気”の原因
現代医学では「自律神経の乱れ」による眠気と説明されますが、東洋医学ではさらに深く「体内のエネルギーバランス」や「臓腑の働き」からその原因を考えます。鍼灸師・整体師の視点では、眠気は単なる“眠りすぎ”ではなく、体の中で起こる“巡りの滞り”や“エネルギー不足”のサインとしてとらえます。
「気」「血」「水」のバランスが崩れると眠くなる
東洋医学では、体を動かすエネルギーである「気」、血液の流れや栄養を司る「血」、そして体液の循環を表す「水(すい)」の3つがバランスよく巡ることで健康が保たれると考えます。ところが、ストレスや冷え、疲労が続くとこれらの流れが滞り、体が「省エネモード」に入ってしまいます。これが日中の眠気やだるさの原因となるのです。
特に、気の流れが滞ると頭へのエネルギー供給が不足し、「ぼーっとする」「集中できない」といった症状が出やすくなります。整体では呼吸や姿勢を整えることで気の流れを促し、鍼灸では経絡(けいらく)と呼ばれるエネルギーの通り道を整えてバランスを取り戻します。
五臓の働きと眠気の関係
東洋医学でいう「五臓(ごぞう)」とは、肝(かん)・心(しん)・脾(ひ)・肺(はい)・腎(じん)のこと。それぞれが心身の働きを支えており、どこかが弱ると眠気として表れることがあります。中でも注目すべきは「脾」と「肝」です。
脾(ひ)は消化吸収を司り、気と血を生み出す臓。 胃腸が弱っていると体に十分なエネルギーが行き渡らず、常にだるさや眠気を感じやすくなります。一方で肝(かん)は気の流れをコントロールする臓。 ストレスや怒りがたまると肝の働きが滞り、気の循環が悪くなって頭の重さや眠気を引き起こします。
“体が休みたがっている”というサインを受け止める
鍼灸の現場では、こうした「気・血・水」のバランスや「五臓」の働きを観察しながら、症状の根本にアプローチします。つまり、眠気を単なる「怠け」や「睡眠不足」と捉えるのではなく、「体がバランスを取り戻そうとしている状態」と考えるのです。
東洋医学では、眠気は悪いことではなく「体の修復反応」の一つ。休むことを拒まず、生活のリズムや呼吸を整えることが、結果的に自律神経の安定にもつながっていきます。
鍼灸・整体で整える:実際のアプローチ法
自律神経失調症による眠気は、単に「眠いから休む」だけでは根本的に改善しないことが多いです。体の内部リズムが乱れているため、鍼灸や整体では“バランスを整える施術”によって自然な覚醒と休息のリズムを取り戻していきます。ここでは、実際に鍼灸師・整体師がどのような視点でアプローチしているのかを紹介します。
自律神経のバランスを整えるための施術ポイント
鍼灸施術では、交感神経と副交感神経の働きを調和させることを目的に、全身のツボを組み合わせて刺激します。特に重要なのは、「頭」「胸」「腹部」の3エリアです。頭部への刺激はリラックス効果が高く、胸や腹部への施術は呼吸を深める働きがあります。整体では、背骨や骨盤の歪みを整えることで神経伝達の流れを改善し、体が自然にリラックスできる状態を作ります。
多くの患者さんは、首・肩の緊張が強く、これが自律神経の乱れを助長しているケースが見られます。そのため、まずは筋肉をゆるめて血流を促し、体全体の“巡り”を整えるところから始めます。
鍼灸でよく使われるツボ
鍼灸では、眠気やだるさのタイプに応じてツボを選びます。中でも代表的な3つを紹介します。
- 百会(ひゃくえ):頭頂部にあるツボで、全身の気を引き上げる働き。ぼんやり感や集中力の低下に有効。
- 内関(ないかん):手首の内側にあり、自律神経の安定とストレス緩和に役立つ。呼吸を深めたい方にもおすすめ。
- 足三里(あしさんり):胃腸を整え、体のエネルギーを高めるツボ。全身の疲労感や朝の眠気に効果的。
これらのツボは、体全体のエネルギー循環を整え、眠気の根本原因である「自律神経の乱れ」を落ち着かせる働きがあります。施術後に「頭がスッキリした」「目が覚めた感じがする」と話す方も多く見られます。
整体での姿勢・呼吸の調整
整体では、眠気の背景にある姿勢の崩れや浅い呼吸を整えることを重視します。背中が丸まって胸郭(きょうかく)が狭くなると、呼吸が浅くなり、体が常に“休息モード”になってしまうからです。施術では、肩甲骨や肋骨周りの筋肉を緩め、自然に深い呼吸ができるよう導きます。
また、骨盤や背骨のゆがみを整えることで、神経伝達がスムーズになり、自律神経の働きが安定します。体の緊張が抜けると、昼間の眠気が減り、夜に自然な眠りが訪れるという良循環が生まれます。
鍼灸と整体を組み合わせることで、体の内側と外側の両面からバランスを整えられるのが最大の特徴です。「眠気」を抑えるのではなく、“眠気を起こす原因”を整えることこそが、鍼灸・整体の真髄といえるでしょう。
自宅でできるセルフケア・ツボ押し法
「施術を受けた直後はスッキリするけれど、数日経つとまた眠くなる…」という声はよく聞かれます。自律神経のバランスは日々の生活の中で少しずつ乱れていくため、日常的なセルフケアがとても大切です。鍼灸師・整体師の視点から、自宅で簡単に取り入れられる“眠気対策のセルフケア”を紹介します。
手軽に押せるおすすめツボ3選
ツボ押しは、指先で軽く刺激を与えるだけでも効果的です。深呼吸しながら、1か所につき3〜5秒を目安にやさしく押しましょう。
- 内関(ないかん):手首の内側、しわから指3本分下にあるツボ。自律神経を整え、胸のつかえや不安感をやわらげます。ストレス性の眠気におすすめ。
- 百会(ひゃくえ):頭頂部の中央にあるツボ。気の巡りを整え、頭の重さやだるさをスッキリさせます。集中力を高めたいときにも◎。
- 足三里(あしさんり):膝の外側、骨のくぼみから指4本分下にあるツボ。体力を底上げし、眠気の原因となるエネルギー不足を改善します。
ツボ押しを行うときは、力を入れすぎず、心地よい痛みを感じる程度が理想です。お風呂上がりや寝る前に行うと、体が温まり血流が良くなっているため、より効果を感じやすくなります。
呼吸法で自律神経を整える
自律神経は呼吸と密接に関係しています。忙しい日々の中で呼吸が浅くなっている人は、意識的に「ゆっくり息を吐く」ことを心がけましょう。おすすめは“4-6呼吸法”。4秒で鼻から息を吸い、6秒かけて口からゆっくり吐き出します。これを5回ほど繰り返すと、副交感神経が優位になり、心身がリラックスしていきます。
軽いストレッチで血流を促す
日中の眠気は、血流の滞りによっても起こります。デスクワークの合間に肩や首を回したり、背伸びをするだけでも、体の巡りが良くなり頭がスッキリします。特に肩甲骨まわりを動かすストレッチは、自律神経の中枢である背骨周辺を刺激し、眠気解消に効果的です。
セルフケアを継続することで、施術の効果が長持ちし、自然な覚醒リズムが定着します。「体を整えるのは、日々の小さな積み重ね」です。無理のない範囲で、心地よく続けていきましょう。
睡眠の質を上げる生活習慣の見直しポイント
「寝ても疲れが取れない」「夜中に何度も目が覚める」という悩みは、自律神経の乱れと深く関係しています。特に、生活習慣の中で無意識に行っている行動が、自律神経に負担をかけている場合もあります。鍼灸師・整体師の立場から見ると、“眠りの質を上げる”ことが、自律神経を整える第一歩です。
寝る前のスマホとカフェインを控える
寝る直前までスマホを見ていると、画面の強い光(ブルーライト)が脳を刺激し、交感神経が活発になります。これにより、体が「まだ起きている」と錯覚し、眠りが浅くなってしまいます。寝る1時間前にはスマホやPCの使用を控え、部屋の照明を少し落として“副交感神経モード”に切り替える準備をしましょう。
また、コーヒーや緑茶などに含まれるカフェインは、摂取後4〜6時間ほど覚醒効果が続きます。午後以降のカフェイン摂取を控えるだけでも、寝付きが改善するケースが多く見られます。代わりに、ノンカフェインのハーブティーや白湯などで体を温めるのがおすすめです。
朝の過ごし方で自律神経をリセット
実は「夜の眠り」は、朝の過ごし方で決まります。起床後すぐにカーテンを開けて朝日を浴びると、体内時計がリセットされ、交感神経が自然にスイッチオンします。軽くストレッチをしたり、深呼吸を取り入れることで、1日のリズムが安定し、日中の眠気を防ぐことができます。
朝に温かい白湯を飲むのも効果的です。内臓を優しく刺激し、血流が良くなることで体が自然に目覚めていきます。こうした“朝のルーティン”を整えることで、夜の副交感神経への切り替えもスムーズになり、深い睡眠につながります。
心身をリラックスさせる就寝前ルーティン
寝る前に軽いストレッチや呼吸法を行うと、心身が自然にリラックスモードに入ります。おすすめは“腹式呼吸”。鼻からゆっくり息を吸い、口から細く長く吐き出します。1日の緊張をほどき、体を眠りやすい状態へと導きます。
さらに、香りの力を取り入れるのも効果的です。ラベンダーやベルガモットなどのアロマオイルは、副交感神経を優位にし、心の安定をサポートしてくれます。「寝る前に心地よい習慣を持つこと」が、良質な睡眠を作る最大のコツです。
生活習慣の小さな見直しで、自律神経の乱れは確実に整っていきます。焦らず少しずつ、体のリズムを取り戻していきましょう。
まとめ:眠気は「体のサイン」。無理せず整える習慣を
自律神経失調症による眠気は、単なる「睡眠不足」や「怠け」ではありません。それは、体が発している大切なサインです。ストレスや疲労の蓄積、不規則な生活によって自律神経のバランスが崩れると、体は“強制的に休ませよう”とします。その結果、昼間の眠気やだるさという形でSOSを出しているのです。
鍼灸や整体の現場でも、眠気を感じる方の多くは体の緊張が強く、呼吸が浅くなっています。施術によって血流が改善され、深い呼吸ができるようになると、自然と眠気が軽減していくケースが多く見られます。つまり、「眠気をなくす」よりも「眠気の根本を整える」ことが、本当の改善につながるのです。
日常生活の中では、セルフケアを続けながら、自分の体のリズムを観察することが大切です。ツボ押しやストレッチ、呼吸法を習慣にし、「最近眠いな」と感じたときこそ、体が回復を求めている合図と受け止めましょう。
そして、症状が長引く場合は、専門の鍼灸師や整体師に相談するのもおすすめです。体の状態を丁寧にチェックし、あなたに合った施術でバランスを整えてくれます。眠気は敵ではなく、体を守るための大切なメッセージ。 無理をせず、自分をいたわる時間を持つことで、少しずつ本来の元気を取り戻していきましょう。
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- 日中の強い眠気は、自律神経(交感・副交感)の切り替え不全や姿勢・呼吸・ストレスが背景にあることが多い。
- 鍼灸×整体は「百会・内関・足三里」などのツボ刺激と、姿勢/呼吸の調整で根本から整える。“抑える”よりも“整える”アプローチが鍵。
- 眠気はタイプ別(気の滞り/気血不足+冷え/交感神経過剰)に見極め、個々の体質に合わせて施術・セルフケアを最適化する。
- 自宅ではツボ押し、4-6呼吸、肩甲骨ストレッチ、朝日を浴びる・カフェイン管理などで睡眠の質を底上げできる。
- 「眠気は体からのサイン」。無理せず休みを取りつつ継続的にケアし、長引く・悪化する場合は専門の鍼灸師/整体師に相談を。






